67. 無視できなくなった「副作用」
ここにきて、アベノミクスを担ってきた財務大臣は、自分たちが掲げた政策に反省もなく、2%の物価上昇目標について、「こだわりすぎるとおかしくなる」と言い始めるのは無責任です。貧困や格差の拡大を無視してきた政府も、銀行業界に異次元緩和の「副作用」が及んでいることは無視できなくなったのでしょう。 全国銀行の資金利益は2012年には4兆円を超えていましたが、18年の中間期決算では3兆円くらいに減っています。預貸金利ざやが同期間に半減しています。地域金融機関が一番大変です。 利ざやが減るので銀行は有価証券投資に踏み込んでしまいました。保有した債券や株の価格が下落するとかなりの含み損を抱えます。金融庁は3月から新しい規制を施行します。地域銀行については金利リスクが自己資本の20%を超えると指導に入るということです。実際には4割以上の金融機関が30%を上回っているという状況があります。 3メガバンクは海外展開でカバーしていますが、みずほフィナンシャルグループは外国証券の値下がりなどで約1800億円の損失を19年3月期決算で計上します。「もういい加減にしてくれ」という声が銀行業界から強まっていることが底流にあると思います。